次の予定は?
2004年1月13日(火) 
北淡町〜道の駅あわじ〜岩屋 約10q
  
 朝、目が覚めてびっくり。窓の外で雨がザーザー、風がビュービュー。天気予報では、降るなんて言ってなかったと思うけど・・・。昨日のうちに予約しておいた朝食を食べに食堂に下りていくと、昨日フロントにいたお兄さんが朝ごはんを用意してくれていました。チェックアウトも同じお兄さん。お客が少ないから全部ひとりでやってるのか・・・。すごい風ですねー、と言ったら、淡路島はこの時期いつも西風が強いんですよ、との事。飛ばされないようにしなくっちゃ〜などと冗談をいいつつ、宿を出ました。

 雨はやんでいたのですが相変わらず風は強く、ビュービューとうなりをあげています。びしょびしょの自転車をタオルでざっと拭き、よろよろと出発しました。強風の中、朝の常盤ダムをなんとかカメラにおさめ、進むこと数メートル。びゅおおおぉぉぉおッ!とひと吹きしたかと思うと、自転車ごと倒され、左側の山の斜面にびたーん!と叩きつけられてしまいました。幸い、倒れたところは土で、草もびっしり生えていたので、怪我をすることもなく立ち直れたのですが、あー、びっくりした。宿のお兄さんに言ったことが冗談じゃなくなっちゃったよ・・・。

 気を取り直して再び自転車にまたがり、そろそろと坂を下っていきます。ところが少し進んだところで、またもや強風。今度はフワッと自転車ごと浮き、慌てて降りると、重しをなくして軽くなった自転車が宙に浮いたのです。ハンドルを握っていたので、持っていかれる事は防げたものの、自転車がダンボール紙か何かの様にひらひらと風に翻弄されています。そして自転車をつかんだまま私もよろよろと風にあおられ、ガードレールに引っ掛かってようやく止まりました。今度は山の斜面ではなく、断崖絶壁。ガードレールがなかったら・・・と思うとゾッとします。

 風はビュービューと容赦なく吹き続けます。強風というより、もはや爆風です。息をするのも大変。こ・・・ッ、こんなことってあるの!?崖のきわにいることに危険を感じ、何とか道の真ん中まで戻りますが、立っているとまた体が浮くので、自転車に覆いかぶさるようにして押さえながら、しゃがんでいるしかできませんでした。

 どのくらいそうしていたでしょうか。風がおさまるのと私の体力がなくなるのと、どちらが早いかという感じだったので、消耗しきる前に少しずつでも進まなくてはと思い、自転車を上から抱えながら、ちょっとでも風がゆるむのを見計らっては、しゃがんだままじりじりと前進。そうしてカーブを二つほど曲がると、山の斜面がある程度風をさえぎってくれるためか、ずい分楽になり、自転車に乗って降りることができるようになりました。ふわぁ〜・・・死ぬかと思ったよ、マジで。命があって、よかった。

 道の駅あわじ。(クリックで拡大)海沿いの道に出ると、風は強いものの、もうハンドルをとられることもなく、普通にこいで行けました。走ること10q強、9時に「道の駅あわじ」に到達です。朝までの雨がウソのように青空が見えています。このあと、再びたこフェリーに乗って明石に渡り、フェリーターミナルで自転車を返さなければなりません。自転車に取り付けた前カゴやら泥よけやらを宅配便で送ってしまおうと思い売店へ行きましたが、予想通りというか何というか、そこで買ったお土産を送ることはできるけれど、持ち込みの荷物を送ることはできないとのこと。まー、そりゃそうか〜。

身ぐるみはがれた自転車。3日半行動をともにし、すっかり「私の」自転車になってしまいました。 お土産は鳴門岬の「道の駅うずしお」で全部調達、発送したし、そもそもこの売店がまだ開店前だったので、あきらめて少し先の郵便局へ行き、ゆうパックで送ることにしました。前カゴを外し、泥よけを外し、バックミラーも携帯ポンプも外し、そうそう、忘れずにライト代わりの懐中電灯も外し、ゆうパックのダンボールの中へ。ついでにレインスーツや工具など、重たいものも一緒に詰め、発送完了。自転車も運転手も身軽になって、フェリーターミナルへ向かいました。

 帰りのフェリーは大揺れでした。風の影響なのでしょうが、甲板が波をかぶるほどの大波なので、船内でおとなしくしていました。やがて明石港に着き、約束の場所へ自転車を返します。借り物とはいえ、3日と半日行動をともにした自転車に愛着がわいてしまっていて、後ろ髪引かれる思いでフェリーターミナルをあとにしました。

 明石駅前は人でごった返していました。淡路島ではこういう光景はなかったから、現実に戻ってきたという気がしました。電車を乗り継ぎ、新幹線で東京までひとっ飛び。あーあ、不良母さんのささやかな冒険も終わっちゃった。明日からまた仕事だぁ。

 重い気持ちとは裏腹に、最寄り駅から家までの道のりは、だんだんと歩調が速くなっていきます。子ども達、いい子にしてたかな。家の中は、さぞかしスゴいことになってるんだろうな。それより今日ちゃんと学校と保育園に行けたんだろか。チビなんか、お母さんの顔忘れてたらどうしよう?

 最後はほとんど小走りで玄関のノブに手を掛け、ドアを開けました。

 ただいま〜!!

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