まずは入口まで
2006年3月16日(木)
東京〜尾道
宿泊:尾道第一ホテル
          
■電車にゆられて尾道へ

 午前中は普通に働いて、お昼の鐘とともに席を離れ、更衣室でトレーナーとジーンズに着替えてから出発!通勤用のふらっか〜ずは職場の駐輪場に置いて行きます。ランドナーは、新幹線の時間まであまりないのとラクしたかったのとで、事前にサイクリングヤマト便で尾道に送っておいたのでした。

 サイクリングヤマト便で旅先に自転車を送る場合は営業所留めにするのが定番らしいのですが、万が一営業所があいている時間に間に合わなかったらすべての予定が狂ってしまいます。そこで事前に宿に電話をして、私が到着する時間より前に自転車を送っておいても良いかとうかがったところ、「もちろん大丈夫ですよ!」とのありがたいお答えをいただいたので、ホテルに直接送らせていただくことにしたのです。

 そんなわけで荷物は着替え等を詰めた自転車用のフロントバッグだけという身軽さで電車に乗り込みました。お昼は少し我慢して東京駅まで行き、駅弁を購入。目当ての新幹線にはまだ時間があったので、ホームで駅弁ランチです。近ごろの駅弁はいろいろ種類も豊富だし、味もなかなか。あっという間に食べ終わってしまいました。

 そして、さて、そろそろ・・・と立ち上がったその時、私が座っていたのと背中合わせのベンチの前に、テレビで見たことのある男性が目に入りました。お仕事の関係かどうかはわかりませんでしたが、数人の方と挨拶を交わされているご様子。芸能関係に疎い私は一瞬名前が出てこず、あんまりジロジロ見るわけにも行かないので、何食わぬ顔でその場を後にしましたが、新幹線に乗り込んでからふと思い出しました。「そうだ、デーブ・スペクターさんだ!」

 東京生まれの東京育ちの私ですが、人ごみが苦手であまり繁華街(?)に行かないのと、会ったとしても知らないもんは気がつかんというのもあって、今まで芸能人らしい芸能人を直接見かけたという自覚はありません。そんな私なので、本当に絶対に間違いなくスペクターさんだったかと言われると自信がなくなってしまうのですが、うん、でもあれはご本人だったと思います。

 さて、新幹線に乗り込み、後は福山までひとっ飛び・・・とはいえ、それだけで約3時間40分。このところ寝不足続きだったのもあり、いいお昼寝タイムとなりました。お天気のほうは、東京を出たときからずっと曇り空でしたが、途中雨がぱらつき、新神戸を出てしばらくしたところで大雨。ところが新幹線が雨雲の下を突っ切ったのか、岡山を出たところでまた急に晴れたのでした。夕方の青空も見え、やれやれひと安心です。今日は自転車には乗らないけれど、組立作業はあるし、やっぱり降っているよりは晴れているほうがいいですからねぇ。

 福山に着いた後は山陽本線に乗りかえ、18時半ごろ、尾道駅に到着です。


■クレーン群

 あたりは薄暗くなりかけていましたが、駅を出るとすぐ向こうに川のような細長い海が見えました。“川”の向こう側は向島(むかいしま)です。うわぁ〜、この向こうにしまなみ海道が続いてるんだ。これから始まる旅を思うと、年甲斐もなくウキウキします。うーん、明日からが楽しみ!

 駅前からは向島にある造船所のクレーンがライトアップされているのが見えます。その妖しげな美しさに見とれることしばし・・・。真っ暗な夜もいいけれど、薄暮の中の姿も雰囲気があります。意味もなく怖い感じになぜか引き込まれてしまいそうです。しまなみ海道に行くことを決めてから、ネットなどでいろいろ調べているうちにこのライトアップのことを知り、これを見ることも観光目的のひとつとしていたのでした。私の写真では実物の迫力をお伝えできないのが残念。尾道に行ったら、是非、夜に見ていただきたい場所です。
向島のクレーン群
ライトアップされた向島のクレーン群(クリックで拡大します)

 ひと通りクレーン群の写真を撮ってから、駅からすぐのところにある宿にチェックイン。自転車は無事届いていましたが、輪行袋から何やら黒い棒が飛び出しています。見ると、ランドナーにつけている片足スタンドが、輪行袋を突き破ってこんにちは。一応スタンドの先はビニールをぐるぐる巻きにして保護しておいたのですが、やっぱダメだったか・・・。ランドナー用に買い換えたばかりの輪行袋に、1回で風穴を開けてしまいました。帰ったら縫わなきゃ・・・しくしく。

 部屋に荷物を下ろしてから、フロントの人が案内してくれた従業員用の駐輪場兼物置スペースで自転車の組み立て開始です。また雨がぱらついてきていましたが、シャッターつきの地下スペースなので気にせず作業ができました。チェックアウト時までの保管もお願いでき、大助かりです。尾道第一ホテルの方々、いろいろとわがままを聞いてくださり、本当にありがとうございました。


■やっぱりラーメンでしょう

 さあ、電車に乗っていただけ、自転車を1台組み立てただけといえど、お腹がすきました。尾道といえば、やはりラーメン!せっかくここまで来たのだから、1度くらいは食べてみたい。現地の名物を食べるのは、旅の楽しみのひとつといえましょう。(←単に私の食い意地が張ってるだけか??)

 でも、事前調査では時間がなくておいしいお店のピックアップまではできていません。そこで、私が旅行する時に使う手のひとつ、「現地の本屋でガイドブック立ち読み」の術を採用することにいたしました(本屋さん、ごめんなさい)。

 駅前に戻り、書店に入って尾道のおいしいラーメン屋さん特集をチェック。お、あるある、駅から徒歩5分くらいのところに「喰海」というなかなかおいしそうなお店が。写真を見ただけで味がわかるわけではないけれど、あちこちのお店のラーメン写真が並ぶ中、「おいしそう〜」と思った写真のラーメンを出す店がここから近いところにあるというのだから、これは行くしかないでしょう!

 初めはいつものように情報だけゲットしたら買わずに書店を出るつもりでした。が、このとき手に取った『るるぶ尾道今治しまなみ海道』になかなか私好みの情報が載っていたので、考えた末、購入することにしました。ちょうど、駅前にある「しまなみ交流館」でサイクリングマップや観光情報がもらえたらしいのに、私の尾道到着が閉館時間の18時を過ぎていたため手に入らずがっかりしていたところです。厚さも他のるるぶに比べたら薄く、やろうと思えば2つ折にしてフロントバッグに入れることもできそうです。宿に戻ってから明日の予定を立てるのにも役立ちそうだし、よし、買った!

 そして、いよいよラーメン店「喰海」へ。店に入ると大盛況で、テーブル席は満員。私はひとりなのでカウンター席に座りました。シンプルにラーメンを注文した後、お店をぐるりと見回してみると、カウンター席の頭上に「ためしてガッテン」で放送されたという“喰海オリジナルの血液サラサラネギラーメン(青ネギおかわり自由)”の文字を発見。しまったーっ、こっちにすべきだったか!?でも、普通のラーメンもとってもおいしかったので満足満足。とろ〜り半熟卵が絶品でした。

 食後、なんとなく甘いものが食べたくなったので杏仁豆腐を頼んだら売り切れとのこと。う・・・残念。まぁ売り切れならしかたありません。ダイエットの手助けをしてくれたのだと思うことにしましょう・・・。


■明日に向けて

 ラーメン屋さんからの帰り道、向島へ渡る渡船のひとつ、福本渡船の発着場前で再びクレーンの写真を撮っていたら、ママチャリで次の船を待っていたオジサマに声をかけられました。

 「コマいやろ?」
 「・・・え?」
 「写真、コマいやろ?」
 「・・・・・・」

 ・・・?コマい??“小さい”ってこと?うーん、でもズームを使えば画面からはみ出すくらいまでアップにできるし・・・。確かに実物の迫力は出ないけれど。いや、それともそういう意味じゃないのか?“暗くてよく写らない”とか?真っ暗な中とった写真はブレブレで、夕方のほうがずっときれいに写ってるしなぁ。

 「ねぇちゃん、どこから来たん」
 「東京からです」

 “ねぇちゃん”と呼ばれるのは申し訳ない気もするのだけど、まぁ相手の年齢は私よりずっと上っぽいし、ここはお言葉に甘えてねぇちゃんで通すことにしましょう。

 「東京!?へー、オレ、東京に親戚いるよ」
 「アラ!そうなんですか?どちらに?」
 「うん、君津」
 「・・・・・・」

 君津は東京ではありましぇん。・・・・・・まぁいいや。

 「向島に渡るの?」
 「いえ、渡るのは明日です。明日の朝早めに向こうに渡って、洋ランセンターと大和のセットを見てからしまなみ海道を走ろうと思って」
 「へ〜。オレもよく自転車であちこち行くよ。大和のセットに行くなら、ここの渡船じゃなくて、駅前の渡船に乗ったほうがいいな。そのほうが目の前まで行けて便利だから」

 ほーほー、ナルホド。駅前渡船の方が奥まで行くのね。オジサマ、ありがとう〜。

 そうこうしているうちに、福本渡船が到着したようです。乗り込んで行くオジサマに別れを告げ、私も宿へと戻ります。宿は素泊まりで取っていたので、帰り道に何か朝食になるものを調達しようと思っていたのだけれど、ラーメン屋さんから宿までの間にはコンビニがなく、ミスタードーナツが1軒あるのみ。朝からドーナツもどうかとは思いましたが、あちこち歩き回るのも疲れたし、ドーナツを3つほど買って帰ることにしました。

 途中の自動販売機でペットボトルのお茶を購入してから、宿に戻ってゆっくり入浴。持参した地図と先ほど買ったばかりのるるぶで明日の旅程を確認してから、目覚ましをかけてオヤスミナサイ〜。明日は早いぞ。

前のページ 次のページ