憧れの北海道ロード
2004年8月24日(火)
浜頓別〜ウソタンナイ砂金採掘公園〜浜頓別 約20q
 
                          
単独行動

 家族でほぼ毎年恒例の北海道旅行に行った際、子ども達のリクエストによりウソタンナイ砂金採掘公園というところに寄ることになりました。

 どうやら一攫千金を狙っている模様。「砂の中から砂金が採れるんだって〜!いっぱい集めて、そしたらお母さん仕事やめられるかもしれないね!」という長男。く〜っ泣かせるねぇ。 (でもそれ、まず無理ですから・・・)

 ウソタンナイへ寄るなら、その日はその近辺で宿をとらねばなりません。しかも5人なので、格安のところでないとね。インターネットで調べてみると、浜頓別町に「はまとんべつ温泉ウイング」というところを発見。素泊まりの利用もできるけど、周りに朝から食事できそうなところはあまり見当たらなかったので、1泊朝食つきで予約しました。

 で、あとからよく見てみると、ここはサイクリングターミナルなのだということがわかりました。サイクリングターミナルっていったら、淡路島に行ったときの三原町にあった「ゆずるは荘」のようなところかな。おぉ、レンタサイクルもあるって。周りにはサイクリングロードがいくつかあるらしく、そこへの拠点になるのだとか。サイクリングターミナルで貸してくれる自転車なら、きっと整備もされていて走りやすいにちがいありません。

 北海道旅行の具体的な計画を立て始める少し前、夫が旅行の道中どこかで自転車に乗ってみたら?と提案してくれていたので、これはうってつけのシチュエーション。宿の近辺に複数あるというサイクリングロードにも心魅かれるけど、ウソタンナイの砂金採掘公園までの10qを往復するだけでも、憧れの「北海道自転車旅行」のマネゴトができる!

 見ると大人用のマウンテンバイクとジュニア用の自転車を貸し出しているとのこと。お、ジュニア用があるって!と長男の方を振り返ると、「無理!」と一言で返されました。まだ何も言ってないじゃんか・・・。全員で行こうにもチビたちを乗せられるレンタサイクルはないし、ジュニア用も長男以外は乗れそうもありません。長男が行かないのであれば、私一人で行くしかないじゃんねぇ?

 というわけで、8月24日の浜頓別で、かねてからの憧れであった北海道自転車散歩が実現することになったのでした。


レンタサイクル

 
昼食を終えてから、「はまとんべつ温泉ウイング」へ。チェックインにはまだ早いので、フロントへ行き500円を添えてレンタサイクルの貸し出しを申し込みます。するとガレージへ案内され、この中から好きなのを選んでいいですよと言われました。

 なるほど、ガレージの中には大人用のマウンテンバイクとジュニア用のマウンテンバイクがずらーっと並んでいます。好きなのを選んでいいといっても、数こそ多いけどそれぞれ1種類しかなさそうに見えました。とりあえず近いところにあった、マウンテンバイクの中で、比較的キズや錆の少なそうな1台を選び、ガレージから出て、試しにその辺を乗ってみます。明るい戸外に出ると、トップチューブに「悪路では乗らないで下さい」という注意書きのシールが貼ってあるのが見えました。いわゆる「マウンテンバイクもどき」です。サイクリングターミナルといえど、やはり台数を揃えるにはこういう自転車になっちゃうのかぁ。まあほとんど舗装路のはずだし、困らないとは思うけれど。

 ところが、試運転してみたらギアがうまく入りません。手元のグリップシフトはカチリカチリと動かせるのに、チェーンがずれていかないのです。「これ、変速機がダメみたいです」とホテルの従業員に言うと、じゃあといって別の1台を出してくれました。乗ってみて、お、今度はちゃんときくな・・・と思ったのもつかの間、今度はギアを軽くしていこうとするとやっぱり動かないことに気がつきました。これもダメじゃん・・・。

 結局、4台めにしてようやく、何とかまともにギアチェンジのできる1台をゲット。車種が廉価版なのは仕方ないとしても、整備もイマイチというのはちょっとアテが外れました。「サイクリングターミナル」という名前に期待しすぎたかな。

 でも、試運転してみてよかった。北海道の道って、周りが広大だからあまり目立たないけれど、アップダウンは結構それなりにあるわけで、それを変速機能がオシャカになっている自転車で走るなんて、せっかくの快適な自転車旅が台無しになるところでした。


出発
 
クッチャロ湖畔にて
(クリックで拡大できます)

 夫と息子たちは先に車で出発。「お母さん、ほんとにほんとに、無事に到着してね・・・!」と、まるで今生の別れとでもいわんばかりの長男。あのー、ただ10qほど自転車で走るだけなんですけど・・・。

 私も宿の駐車場の自販機でお茶を買ってから出発です。でも、目的地へ向かう前に、サイクリングコースは走らないけれどせめてスタート地点だけでも拝もうと思い、まずはすぐそこのクッチャロ湖へ。はまとんべつ温泉ウイングの駐車場を出て坂を下るともう湖が見えてきます。クッチャロ湖を背景に、今回の相棒となるマウンテンバイク(もどき)を撮影。天気もいいし、よーし、ウソタンナイ砂金採掘公園へ向けて出発だ!!


北海道の道

こういうところを
走ってみたかったんです
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 平日の日中だからなのか、それともいつもこうなのか、車もほとんど通らない道を悠々と自転車で走ります。さっきまで広がっていた青空が、いつの間にか雲で覆われていましたが、かえって暑すぎず丁度いい感じ。今こんなところを自転車で走っているのは私だけです。貸切みたいで快適な反面、ごくたまに通る車にここではねられても、目撃者はおろか、倒れているところを発見してさえもらえそうもありません・・・。

 緩やかなアップダウンを超えながら、国道275号線を進みます。そうそう分岐点があるわけでもないので、安心して道沿いに走れます。ということはつまり、多少大回りでもショートカットする道がないので、おとなしく道沿いに行くしかないということでもあるのですけれどね。
牛たちの視線がイタイ・・・
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 頓別川を越えたところで東に入ります。小学校なんかもあったりして、民家がチラホラ出てきます。道端には牧場もあり、牛たちがのんびりくつろいでいました。こちらに寄ってくるわけではないのだけれど、思いっきりよそ者を意識している様子。みんなしてガンをとばしてきます。コワイヨー。

 でもここまで来れば砂金採掘公園まではあと少しです。公園のすぐそば、宇曽丹川にかかる橋の名は「黄金橋」。・・・すごいですねぇ〜。
「こがねばし」?
「おうごんばし」?

(クリックで広域画像)


砂金採掘公園の看板。
「東洋のクロンダイク」
・・・へ・・・へぇー・・・。
(クリックで拡大できます)
 やがて砂金採掘公園の看板が見えてきました。もう到着です。信号?うーん、あることはあったけど、いくつあったっけ?地図を見る時と写真を撮るとき以外はほとんど止まることなくここまで来こられました。

 砂金採掘公園の敷地に入ると、広〜い芝生の向こうに屋根つきの体験コーナーがあり、息子たちが砂金掘りに興じているのが見えました。近づいていくと、次男が一番最初に気がつき、「お母さーん」と走ってきました。無事ついたよ〜。
■帰り道

 砂金掘り体験1回30分を2ラウンド楽しんだあとは、もう宿へUターンです。今度はもと来た道を帰るだけなので簡単!と思っていたのですが、どうやらひとつ手前の道で曲がってしまったようで、周りの景色に見覚えがあるような、ないような・・・?そんなに道の数がないから間違えることもないとタカをくくっていましたが、逆に1本間違えると修正する横道がなかなかないので、道なりに進むだけでとんでもない方向に連れて行かれてしまいます。地図を見ると、もう少し先まで走れば出たかった道に続く横道がありそうでしたが、実際目で見る限りでは確認できません。まだしばらくは明るいと思うけれど、そして今回は淡路島での体験を活かして(?)ベルトでくくりつけるタイプの自転車用LEDライトも持ってきてるけれど、薄暮の中自信のない道を走るのも不安だったので、引き返すことにしました。

 道を修正し、気を取り直して自転車を進めます。往きに通った牧場にはもう牛たちもおらず、畑仕事のおじさんも帰り支度をしています。
自転車どころか車もほとんど
通りません。四つん這いの黒い
影が出てきたら、どうしよう!?
国道275号線に入ると、さっきよりもさらに交通量が少なく、熊でも出そうな雰囲気です。あそこの木の陰から熊が飛び出してきたら、その時には素早く向きを変えて逆方向に走り去ろうか、それとも後ろから追いつかれるくらいならいっそ初めから直進して体当たりではね飛ばしてしまおうか。あらぬ事態に対して頭の中でシミュレートを繰り返しつつ、いつでも反応できるよう両側の鬱蒼とした森に神経を集中しながら走り抜けます。だってホントに出そうなんだよ・・・。

 やがて人里(?)に戻り、高校が現れ、スポーツ施設も見えてきて、あとは真っ直ぐです。すると、道の右側に、サイロ風の建物がポツンと立っているのが見えました。壁には「浜頓別ユースホステル」の文字。あ、こんなところにユースがあるんだ・・・でも、営業してるのかな?車は置いてあるのだけど、閑散とした雰囲気。あとでわかったのですが、どうやらこの数日前に閉鎖されたのだそうです。 雰囲気のある建物なんだけれどねぇ。惜しい。
浜頓別ユースホステル。
(クリックで拡大できます)


■北海道自転車旅行疑似体験終了

 往復たった20q程度のポタリング。でも、北海道の風を感じながら、景色を堪能しながら、自分の足でこいで進む感覚は充分楽しめました。車に煽られることもなく、信号にひっかかることもなく、歩行者(及び熊)が飛び出してくることもなく、走っていてストレスを感じることはないのですが、あまりにも人の気配がなくて、ちょっと不安になってしまう場所もチラホラ。車が多いと鬱陶しく感じるくせに、勝手なもんですね。

 宿に着くと、一足先に到着していた夫と息子たちがロビーのソファーで待っていてくれました。「無事だったんだねー!」と大げさに喜びながら駆け寄ってくる長男に続き、次男、三男も次々と走ってきます。ありがとうねー、ひとりだけ自転車で行かせてくれて。楽しかったよー。

 熱烈歓迎の息子たちの背後、「いったいどんな秘境を旅してきたのかって感じの迎えられ方だね」と笑う夫の横で、大きな大きな熊の剥製が、こちらをじっと見つめていました・・・。
 
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