道を嗅ぎわける嗅覚
2004年4月26日(月)
古河市〜谷中湖〜自宅 約96q
                         
目的地は谷中湖

 今回は一泊なので、今日はもう帰らなくてはなりません。

 昨日は谷中湖に着いてから、水辺を少し走ってみたけれど、一日走った疲れと、夕方になってますます強くなった風のおかげでへとへとになり、また「5時になったら門が閉まります」という看板も気になり、一時間もしないうちに古河(こが)市内の ホテルへ向かったのでした。

 ホテルのフロントのお姉さんに自転車の置き場所を尋ねたら、東京から自転車で来たということにびっくりされたと同時に、なぜ大した観光地でもないココへ?とも思われたようで、しかも明日は帰るのだというとますます何しに来たのかという感じでお姉さんは首を傾げていました。う〜ん、私もうまく説明できない。変人と思われたかも??それでもチェックアウトの時には、「谷中湖は桃の季節がキレイなんですよ。今度はまた是非3月ごろに自転車でいらしてみてください」と教えてくれました。

 事前に地図を見ながら考えたルート。無駄な遠回りをしなくてすむよう、なるべく最短距離で行けるコースを選んだけれど、昨日走った道の大半は、けして走りやすくはありませんでした。国道は突然自転車の進行を妨げる箇所がいくつもあり、走りやすいと思って選んだ裏道も、行ってみると案外交通量が多かったりして全然快適ではなく、まだまだ道の選び方が上手くないんだなぁと痛感しました。あの道をもう一度通りたいとはどうしても思えず、今日は昨夜眠い目をこすりながら練り直した別のルートで帰ります。

 でもその前に、朝の谷中湖を走ってみなくては!昨日ちらっと見ただけじゃ、本当に何しに来たのかわかりません。このままでは「谷中湖に行った」というより「古河市のビジネスホテルに泊まりに行った」だけになってしまう。幸い今日はそれほど風も強くないし、明るい中で見たほうが湖だって断然キレイなはず!昨日とは反対側の入口から入るべく、古河市内を北へ向かいます。


谷中湖空間

ロイヤルホースクラブ横の小道
ロイヤルホースクラブ横の小道。クリックすると拡大します。
 ロイヤルホースクラブという施設の脇を通る道の入口に到着しました。道幅が急に細くなっており、抜け道っぽくてなかなかいい雰囲気。こういう小道を見つけると、つい入っていってみたくなるのは私だけ?いつもはそういう道が進行方向と違うことが多いので大抵あきらめますが、今日はこれが目的地に続く道なので、堂々と(?)進みます。
葦の原
昨日とは反対側の門から入ります。クリックすると拡大。

 薄暗い木々のトンネルを抜けると、すぐに渡良瀬遊水地の敷地内に入り、目の前に草原が広がりました。朝ということもあり、周りには誰もいません。なんとなく荒涼とした感じで、世間と隔離されたような空間が広がっています。静かだなぁ・・・。

渡良瀬貯水機場
あの門を突っ切れれば一周できるのに!クリックで拡大。

 本当は一周したかったのだけど、昨日ちょっと走ったときに、ハート型の根元のところで「渡良瀬貯水池機場」という建物があり湖ぎわは一周できないことがわかっていたので、4分の3周くらいでよしとすることにしました。土手の上のサイクリングロードなら一周できるのかもしれませんが、あまり湖から離れたところで一周してもおもしろくないのでパス。

 湖沿いに走っていると途中唐突に展望台(?)が出現しました。一応上っては見
展望台
湖を臨む展望台。クリックで上からの眺めが見られます。
ましたが、これといってものすごい絶景が見られるわけではありません。でも、ここに展望台を設置するということは、ここからの眺めがイチオシなのでしょうか。相変わらず人気はほとんどなくて、時たま釣りに来たおじさま達やジョギング中のお兄さんとすれ違うくらい。あたりは静かで、どこからか鳥のさえずりが聞こえてきます。なんだかここでは時間がゆっくり過ぎているような感覚さえおぼえます。メジャーな観光スポットもいいけれど、こういうマイナーなところで風景を独り占めするのも悪くありません。
ゴミ箱
そんな人いるの!?ピンボケですがクリックで拡大します。

 ひとしきり静かな空間を堪能した後は、ただ湖面を眺めながらゆるゆると自転車を走らせ、1時間もしないうちに昨日の入り口に到着しました。帰り道用の飲み物を買い、ついでに目の前にあった公衆トイレにも寄ることにしました。設置してあるゴミ箱の注意書きがちょっと笑えたのでつい撮ってしまいましたが、女子トイレでカメラのシャッターを切る私っていったい・・・?



そして日常へ
サイクリングロードに入り、いざ東京へ!クリックで拡大。

 さぁ、あとは帰るだけです。時刻は8:50。谷中湖も見たし、明日から仕事だし、早めに出発しなければ。

 谷中湖の西側を走る渡良瀬サイクリングロードは、全長49qほどあり、北は群馬県の桐生市あたりまで伸びているとのこと。ついついそっちに走っていってしまいたくなりますが、帰らなくてはならないのでおとなしく反対方向へ向かいます。

田んぼの真ん中を突っ切ります。気分いい〜♪
 すぐに見えてくる「柏戸」という信号で一般道に下り、田んぼの真ん中を通る真っ直ぐな道を抜けて国道354号に入ったあと、新三国橋で渡良瀬川を越えました。 ふと横を見ると、あれ?なんか川の東岸にサイクリングロードっぽいものがある・・・。もしかして近道?渡良瀬川はこの少し先で利根川と合流しており、帰るためにはその付近にかかる利根川橋でもう一度西側に渡りなおさないといけません。 このサイクリングロードがそこまで続いてくれていれば、予定より距離を短縮できそうです。でもいかんせん復路のコースを予定と変えてしまったために、手持ちの地図ではその先が切れてしまっており、その道が果たして利根川橋まで続いているかどうかが確認できません。どうしよう?行けるのかな?行けそうだよなぁ。でも利根川橋より前で途切れたらそのあたりの地図を持っていないし・・・。迷った時の時間のロスを考え、結局予定通りもう少し東まで走ってから右折し、ほぼ真っ直ぐ南に下る一般道を使いました。

 果たして利根川橋に着くと、どうもそれっぽいサイクリングロードが見えます。うー、ちょっと、いやかなり悔しい。やっぱり使えばよかったなぁ。実際に通った道もそれほど交通量もなく走りやすかったのがせめてもの救いです。後から見たらこの古河岩井自転車道という名のサイクリングロード、その名の通りずっと南の岩井市まで続いているとのこと。大きな川沿いのサイクリングロードは、使ったほうがおトクなのね・・・。

 利根川橋は自転車でも渡れるけれど、渡りきったところで自転車の走るスペースがなくなり、交通量もかなり多かったのでちょっと怖い思いをしました。そのまましばらく日光街道(国道4号)を進みます。車道は結構な交通量
下っていく4号の歩道。ちなみに一番左の車線は別の道へ分岐。4号本線は右側2車線。この車道を走る勇気は私にはありません…。クリックすると拡大します。
だったので、歩道を走っていると、あらら?歩道だけが下り坂に・・・。このあたり、日光街道自体は平坦なのですが、その脇にある歩道が、本線に沿っていたかと思うと緩やかに下り始め、車道の土手下を走ってまた本線に戻る、というのを繰り返しているのでした。 場所によっては行き止まりになっていて街道の下をくぐって反対側の側道に渡らざるを得なかったりもします。車と分かれて走るので安心なのですが、低いところを走っている区間には、両脇から丈の高い草が覆いかぶさっている箇所もあり、普段の交通量の少なさをうかがわせます。 確かに、月曜日の、しかも中途半端な時間とはいえ、歩行者や自転車の人はほとんど見かけません。

 「内国府間(うちごうま)」 で日光御成街道(地方道65号)に入り、しばらく道なりに進みます。町並みの中にところどころ歴史を感じさせる家屋が見られ、交通量もそれほど多くなく、のんびりペダルを回していきます。ふと空腹であることに気づき、時計を見ると12:00。昨日といい今日といい、腹時計の正確さに我ながら感心するやら呆れるやら。「鹿室(かなむろ)」 の交差点を過ぎて1q程行ったところで、左手に「仁屋(じんや)」というお蕎麦屋さんを見つけたので、そこに入ることにしました。

 店内では奥の座敷に通され、ごまだれそばとゆずシャーベットを注文。純和風のお店の雰囲気がなかなかです。おそばの味は中の上くらい?キビしいかな?まあこれは好みの問題かもしれません。でも、ゆずシャーベットは自転車を走らせてきた身には非常に嬉しく、なかなか美味でした。座敷でくつろぎながらこの後の道を確認し、ふたたび出発です。

 さらに南下していくと岩槻市役所 にぶつかり、そこで右折。東北自動車道のガード下を通って地方道64号に入ります。埼玉県庁前 を過ぎ、40号、79号と乗り継ぎ、往きに通った地方道36号に合流、ここから先は地図を見なくても走れます。36号は、往きに通った西側に比べ、歩道も狭く若干走りにくく感じました。同じ道でも左側と右側で走りやすさが違うのか・・・。

 その先はもう日常の空間。夕方の5時を報せるチャイムが街中に鳴り響きます。さっきまで地図を確認しつつ、いかに楽で早く帰れる道を見つけるかに意識を集中していたのに、いつの間にか頭の中は今日の夕食をいかに楽で早く作れるメニューにするかでいっぱいになっていました。夫と子どもほったらかして遊びに行ってたんだから、手を抜いちゃいかんかな・・・と思うけど、平坦な道ばかりだったとはいえ今日一日で96q走って結構へとへと。ま、うちは「質より量」だから、お腹いっぱいになれば誰も文句は言わないでしょう!

 さー!明日からまた仕事です。でも誰も私が昨日今日で谷中湖に行ったなんてことは知りません。私自身、今朝まで谷中湖にいたなんて何だか不思議な感じ。走りなれている人ならもっともっと早く走破してしまえる距離を8時間以上かけている私ですが、それでも今までの自己最長記録と思うと、ちょっとだけ誇らしく感じました。走りやすい道を嗅ぎわける嗅覚はまだまだ未発達だけれど、それは今後に少しずつ磨いていくということで!

 こうして、不良母ちゃんの2度目の自転車旅行は幕をおろしたのでした。

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